誰でも出来る業務改善方法(3つの手順)

業務改善でおさえておきたい3つの基本

組織で業務改善を進める為の方法を3つの手順でご紹介いたします。
多くの方法があるとは思いますが、私が現場で実践している方法です。
是非ご参考になれば幸いです。

業務改善を進めるにあたって、次の3つを順番に実行しましょう。
この手順を抜かして効果的な業務改善はできません。

  • 業務の洗い出しで業務を全て出し切る
  • 業務の流れを整理して業務フローを作成する
  • 無理・無駄を探し改善点を検討する


少し長いですが、頑張ってついてきてください。

業務の洗い出しで業務を全て出し切る

業務改善で一番最初にやらなければいけない事は情報の洗い出しです。
どんな業務があるのかを全て、漏れなく知る必要があります。
逆に情報が不足した状態で業務改善を進めると、最悪の場合最初からやり直し、、、といったことにもなりかねません。
では、情報を洗い出す為に何をすれば良いのか説明します。

業務を箇条書きで書き出す。

まずは改善したい業務で何をしているのか書き出してください。
資料を作る、物を運ぶ、登録作業、編集作業、声掛け、連絡。
業務で必要な作業全てを作業単位で箇条書きにしてみてください。
洗い出しの作業が難しければまずは大きな単位でかまいません。
大きな単位で業務を書き出し、その内訳の作業を個別に箇条書きにしていきます。
この作業で業務をパズルのピースのように集めていきます。
全てのピース(作業)が集まってやっと業務(パズル)が完成するのです
なので「全ての作業を書き出す」事がとても重要なのです。

登場人物、システム、資料を書き出す。

業務を書き出すことができたら、誰が、いつ、どのようにその業務をしているのかを考えます。
できるだけ端的に単語で書き足すようにしてください。
例えば、「受注」という業務があったとします。
その場合、想定される登場人物は「顧客」「営業担当」「事務担当」「倉庫」「生産管理」などです。
想定される資料として「FAX注文用紙」「受注伝票」「出荷依頼」「製造依頼」その他連絡用紙などです。
想定されるシステムは「販売管理システム、受注伝票入力画面」「EDI送受信ソフト」「メール」「倉庫管理システム」などが考えられます。

ここまで出来たら関わる全ての人物、システム、資料を書き出す事で
「誰が何を使ってどうしているのか」という情報が見えるようになります。
さらに具体的な内容で補足などがあればそれも記述してメモしておきます。
ポイントは各部署との関係性と登場する書類、システムを明確にする事です。

想定している作業頻度、作業時間を書き出す。

ここまでで業務リストがかなりの精度になっているものと考えられます。
最後に各の作業にどれほどの時間や手順を要しているのかを明らかにします。
作業ごとにおおよそでいいので作業時間を記述していきましょう。
細かく覚えていなくてもかまいません。
同じ作業でも5分〜60分と物量に左右されたりとすることがあることは容易に想定できます。
また、時間と一緒に作業頻度も一緒に書き出しましょう。
毎日の作業なのか、週に1回、半年に1回、年に1回などです。
例えば、次のように記述するのも良いでしょう。

例)毎日、5分〜10分程度、月に数回30分程要する時がある。

ここまでで書き出した業務のうち、どこでどれ程の作業時間を要しているのかが見えるようになります。
ここまでできたら作業はひと段落です。
少し休憩し、作成した作業一覧を見返してみましょう。
ぬけ漏れなどが無いか再びチェックします。

業務の流れを整理して業務フローを作成する

フローイメージ

業務フローの作成は少しハードルが高いように感じるかもしれません。
何も難しく考える事はございません。
業務の洗い出しが出来た皆さんであれば凄く簡単で単純な作業です。
見た目を良く作ろうだとか考えないで、次の手順に沿って作成してみてください。
きっと、今まで見えなかったものが見えてくると思います。
最初はとにかく作る事です。
体裁を整えるなんてことは後からすれば良いのです。

書き出したデータを線で順番に線でつなぐ

ここまでであなたが苦労して作った業務のリストが多いに役立ちます。
各項目を並べ替えやすいようにエクセル等で四角いオブジェクトを作成して記述します。
作成した四角いオブジェクトを作業順に並べてください。
並行作業があればその作業を並列に並べます。
基本的に上から下へ順番に作業を行う事で業務を完遂できるよう並び替えます。
並べ終わったら、業務の開始から各作業を順に線で繋げます。
最後までできたらフローの原型の出来上がりです。
見た目などはまだ考えなくて良いです。
とにかく作業を順に並べて線を繋ぐ事に意識を集中しましょう。

登場人物毎に振り分ける

ここまでで業務に必要な各作業の流れが順に線で繋がりました。
準備作業はここが最後です。
作成した資料に、登場する人物の数だけ縦長方形の枠を用意します。
ここでは人物としておりますが、部署ごと、組織ごとでも問題ありません。
それぞれの枠を横並びになるように作成します。
そして、作業の四角いオブジェクトを担当する枠へ全て移します。
ここで気を付ける事は、繋げた線や作業順は維持すること。
途中で繋げた線を切ったり並べ替えると、せっかく作った作業順序がバラバラになってしまいます。
作業を全て人物の枠へ移す事が出来たら線や見た目を整形して見やすくしてください。

最後に、各作業で必要な書類や利用しているシステムを作業の近くにわかるように記載していきましょう。

これで業務フローの完成です。
業務にかかる各作業がどの部署がどの部署と関連しているかが見えるようになります。
また、フローにする事で紙の資料などがどう流れて回っているのかも見えるようになります。
必要に応じて吹き出し等でコメントを付けるとより分かりやすくなります。

無理・無駄を探し改善点を検討する

いよいよここからが業務改善の本番です。
これまで業務の洗い出しと業務フローを作成してきました。
これにより業務の全貌が可視化されているはずです。
業務全体を見渡す事が出来るようになっていると思います。
作った業務フローをよく見てください。
ここでは特に確認すべきポイントを次の3つに絞って説明します。

人間の判断が必要な業務を確認する。

最も作業効率が良いのは何も考えずに即時判断して無駄なく業務をこなす事です。
人でもロボットであれそれは同じです。
無駄な時間を無くす事がまずおおきなポイントになります。
無駄な時間の発生原因の一つは人間判断です。
郵便を例にとりましょう。
現在は封筒などの郵送物は郵便局で配達方面の地域へほぼ全自動で振り分けられます。
数秒の間に沢山の郵便物が配達方面毎に振り分けられるのです。
この超効率化はコンピュータシステムの導入し、人の判断を排除した結果です。
このシステムが無ければ、郵送物の郵便番号や送り先を人の目で確認する事になります。
そして、熟練の技と記憶力で素早く配達方面毎に振り分ける必要があります。
人の判断が加わる事で、時間を要するだけではなく属人化まで発生してしまう可能性があります。
なので、まずは人が判断している作業をチェックしてみましょう。
チェックした作業はもしかしたら効率化できるかもしれません。

待ちが発生しそうな業務を確認する

次に確認すべきポイントは待ち時間が発生するかどうかです。
ここでいう待ち時間とは、自分以外の登場人物(人や部署等)による「待ち時間」を指します。
一人で作業が完結できれば全て一人の作業効率の問題です。
しかし、他の人や部署が関連する業務では「連絡」や「確認」といった作業が追加で発生する事が想定されます。
これは連絡を受けたり書類を預からないと作業が進まないといった業務のボトルネックとなります。
何がボトルネックとなっているのかをよくチェックしてみてください。
例えば、注文書を事務所でチェックして在庫が無いので生産するとしましょう。
その場合、生産待ちとなります。もしかしたら材料の調達待ちという事になるかもしれません。
それではあまりにも注文~納品のボトルネックが多すぎます。
この場合の解決策は在庫を多めに置いておく、材料を多めに置いておく、そもそも注文を受けない。
などなど、今までの自分の考えを排除してゼロベースで解決案を考えてみてください。
もしかしたらそのボトルネックは無くなるかもしれません。

単純作業に時間をかけていないかを確認する

考える必要が無いような単純な作業を探しましょう。
もしかしたらRPAによる自動化が可能であるかもしれません。
仕組みや運用を変更する事でその作業を無くせるかもしれません。
また理由のわからない処理なども本当に必要か、考えてみましょう。
今までやっていた作業も、本当はあまり意味の無い作業かもしれません。
簡略化・省略しても業務に支障がなければ作業を断捨離するチャンスです!

まとめ

ここまで大きく3つの手順で業務改善の方法を説明しました。
最初に課題を洗い出して検討する為の材料を出し切ります。
次に流れを整理するためにフローにします。
最後に全体を見渡し、改善出来るところや無駄を省いていきます。
もしかしたらあまり効果が出なかったり改善案が出ないかもしれません。
それでもやる意味はあります。
作成した資料は現在の業務を整理するのに役立ちます。
また、教育資料としても有用であります。
業務でお忙しいかもしれませんが、業務改善の時間を作る時間を作る事をおすすめします。
きっと何か発見がある事でしょう。

業務改善が出来ない3つの理由と現場の気持ち

業務改善が出来ない理由

業務改善を現場に指示したが、どうも思うように進捗していない。
と思った方、少し落ち着いて原因を考えてみましょう。
業務改善が出来ない理由はたくさんありますが、次の3つに絞ってお伝えします。

この記事の対象者は、業務改善を推進する立場にある人です。
「現場に改善を求めてもなかなかうまくいかない」という悩みへのヒントとなれば幸いです。

1.業務改善意識が無い

「業務を改善できるものなら改善したい」これが多くの方に共通する思いではあると思います。
「改善したくない」という場合もあるかしれませんが、ほとんどの方は改善できるものならしたいと考えるものです。
しかしながら改善に意識が向かない…これは次のような事ではないかと考えられます。

改善すべき事に気づいていない

どんなに経営者や現場の上長から改善を促されても、何をすればいいのかわからなければ改善は進められません。
多くの従業員は「今」している仕事内容をずっと繰り返し疑いを持たずにこなしています。
もしくは「今」ある仕事に精一杯で他の方法を考えるという機会が無いのかもしれません。
経営者が思うほど現場では改善に意識が向かないのは環境に原因がある可能性があります。
業務改善を進めたいのであれば、その為の「時間」を担当者に用意するようにしましょう。
業務として改善に向き合う「時間」をしっかり用意してあげる
そうする事で業務改善が出来ない理由から出来る理由になります。

現状に満足している

たまに創意工夫による業務の効率化を図る人材が現れる事があります。
これはとても素晴らしい事でございます。
現場の従業員がその人材を信頼し、当人はとても良い気分となる事でしょう。
しかし、問題はその先で起こる事があります。

現場だけでもある程度の業務改善されている事を経営層は認識していたとします。
その上で、経営層としては更なる改善が必要であると判断したとします。
しかし、現場では改善を求められても「既に改善は十分に実施した」「もうできる事はない」と感じてしまう可能性があります。
もしくは、改善に貢献した人が俗に言う「声が大きい」人であれば、その方が「もうやる事は全部やった!」と言い切ってしまえば他の従業員は声を上げ辛い環境になる事でしょう。
この場合、悪い意味で現場の空気が出来上がってしまっているといえるでしょう。
「経営層が考える改善」と「現場の考える改善」が違うというのはよくある事です。
これが業務改善が出来ない理由です。
業務改善を推進する人は現場に対し次の3点を現場に伝えてみてください。

  • 具体的な改善項目
  • 何がどう悪いのか
  • どのような状態を目指すのか

ポイントは、従業員が「何故改善が必要か」を明確に理解できるまで根気よく説明する事。
良くも悪くも現場に改善を丸投げしているだけでは改善は進みません。
改善に充てる時間を用意して取り組む事が大切です。
業務改善が出来ない理由を無くしてあげる事が大切です。

やる気が無い

そもそものお話ですが、いくら改善しろと命じても改善する気が無ければ進みません。
異動し、別の人材の投入できればよいのですが、そうもいかない場合も多いです。
特にベテラン従業員などのキーマンであった場合は簡単に異動なんてできません。
ベテラン従業員に改善を命じても、重要なポストであるため我儘がまかり通ってしまう場合があります。
インセンティブを用意するという事も検討するかもしれませんが、あまりおすすめしません。
インセンティブがある事で逆にやる気が削がれてしまう場合があります。
これを「アンダーマイニング効果」といいます。

ではどうすればよいのか?
十分に業務改善の必要性を伝える時間を用意する事が大切です。
ただ伝えるだけではいけません。
肝心なのは業務改善の必要性を従業員に理解して頂く事です。
さらにモチベーションを高める話し方も必要です。
従業員は十分な理解をしないまま「やれ」といわれてもモチベーションが下がるだけです。
やる気のない従業員のやる気を出すのは難しい事です。

2.忙しくて手を付けられない

そもそもですが、業務を改善しようにも普段の業務で手がいっぱい。
それでは当然改善に充てる時間が生まれません。
どんなに上司が頑張っても、部下はやらなければいけないことがあれば改善業務は後回しになってしまいます。
業務改善は上司だけではできません、組織が一丸となって取り組む必要があります。
なので、忙しいからといって改善業務を後回しにしていたらいつまでたっても改善なんてできるはずもありません。

ではどうしたらいいのか?

とってもシンプルな話ですが、きちんと業務改善の時間を業務時間として作りましょう。
時間は作らないと生まれません。
組織として取り組まなければいけない事は、トップダウンで無理にでも時間を作って取り組む事で前進します。
仕事を遅らせる、減らす、残業する。いろいろ方法はあるはずです。
まずは、業務改善をするための時間を作って業務改善が出来ない原因を無くしましょう。

3.何をすればいいのかわからない

最後に、従業員がやる気もあり、時間もつくって業務改善へのモチベーションも高まった。
しかし具体的に従業員は何をすれば改善できるのかというのを知らなければ業務改善は進められません。
現場は通常業務を遂行しながら改善に取り組みますので、「よくわからない事」は残念ながら後回しにされてしまいがちです。
管理者が現場にまかせっきりにしていては、いつまで経っても進むはずがありません。
これが業務改善が「できない」理由の一つです。

管理者は現場に何をどうすればよいのか、方法論を伝え理解させる必要があります。
業務改善は問題解決といえますので、どうすればよいのかわからなければ問題解決の手法を参考にすると良いでしょう。

業務改善の手法については別の記事でご紹介いたします。

まとめ

現場で業務改善が思うように進まない3つの理由をご紹介しました。
どうすればよいかまとめると次の3つがポイントとなると考えます。

  • 業務改善の為の時間を十分に用意する。
  • なぜ業務改善が必要なのか、改善するとどうなるのかを従業員に説明し理解を得る。
  • どうやって業務改善を進めるのか、現場に十分説明し、改善業務が滞らないよう管理する。

といった所でしょうか。
まずは意識の改善から取り組んでみてはいかがでしょうか。

業務改善をする時間がとれない、改善業務の洗い出しまではできているが進まない等、お困りでしたら弊社お手伝いできる事があるかもしれません。
まずはお問い合わせください。